Column
コラム

革の鞣し(なめし)とエイジング(経年変化)

動物の「皮」は鞣し工程を経て初めて「革」をなります。「皮」は大変腐敗し易いので塩漬けで輸送されます、塩漬けの歴史は古く、古代ローマ時代に軍隊の装備として大量の革が必要になり、遠方から腐らせずに皮を運ぶため、塩漬けによる保存・流通システムが完全に確立されました。

~革なめしの種類~


植物タンニンなめし

植物の樹皮から抽出したタンニンで数週間〜数ヶ月かけるなめし方法で経年変化(エイジング)を最も楽しめますが、タンニンなめしの革は高価でケアも大変なのでタンニンなめしの革製品はコアな革好きの方におすすめです。このなめし工程により皮の繊維組織を安定させる効果が生まれます。

【参考革製品】

TSUCHIYA KABAN™ 公式サイト — 土屋鞄製造所 IL BISONTE(イルビゾンテ) | ルック公式ファッションブランド通販サイト | LOOK@E-SHOP(ルック アット イーショップ) 公式オンラインストア | 最高級のメンズ革製品・革財布 GANZO公式WEBサイト


クロムなめし

→硫酸クロムを使ったなめし方法で世界の革の90%はこのなめし方法を使用。短期間で生産が可能な上、耐水性にも優れている加工法です。価格は安価だが、エイジングは難しい。この加工法は環境問題が指摘されており、近年日本のタンナーが尽力し、モンゴルの河川を改善した事例がある。ワールド・レザー・プロジェクト – RUSSETY

【参考革製品】

エルメスの公式オンラインストア | Hermès – エルメス-公式サイト Bottega Veneta® | JP 公式オンラインストア


コンビネーション(混合)なめし

タンニン+クロムのなめし方法で、エイジング・価格・耐水性のバランスを取るならコンビネーションなめしの革製品が最適です。世界で最も有名なコンビネーション鞣し革といえば、アメリカの老舗タンナー・ホーウィン社が作る「クロムエクセルレザー」で、美しいエイジングが特徴です。

【参考革製品】

Jalan Sriwijaya(ジャランスリウァヤ) | CHROMEXCEL Series(クロムエクセルシリーズ) – GMT inc. 公式オンラインショップ master-piece | マスターピース公式サイト


~国別のなめし加工法~

イギリスは伝統的なタンニンなめし製法にこだわり、イタリアは芸術的に経年変化を楽しみ伝統的より新しいなめし技術を取り入れる傾向からコンビなめしが多い、ドイツやフランスは経年変化を好まない傾向からクロムなめしが多い。



~人工皮革と合成皮革~

【合成皮革】

 →布地の上にPU(ポリウレタン)やPVC(ポリ塩化ビニル)を被せた革の事です。

【人工皮革】

 →マイクロファイバー(特殊不織布)地にPUやPVCを被せた革。

・PUとPVCではPUのほうが弾力性、通気性、劣化の面で優れています。人工・合成皮革いずれもも3~4年で劣化が始まり、最後は魚のウロコのように剥がれ落ちます。人工・合成皮革の革製品は製造してから劣化が始まるので革製品をご購入の際は製造日をご確認の上、購入しましょう。

・カーボンレザーはPVCレザーや天然皮革にカーボンフィルムを熱圧着させたものです。例として車のシートやオフィス チェアー等に使われています。フィルムは紫外線に弱い為、革製品の変色には気を付けてください。



~経年変化(エイジング)~

エイジングとは経年と共に革の色・ツヤ・質感に変化が生まれる事で、手垢汚れとは区別してください。先程解説したタンニンなめし+染料染めの革製品が一番エイジングが生まれます。(染料染めは水溶性染料を染み込ませる染め方、顔料染めは塗料と吹き付けるイメージの染め方。)エイジングするまでに要する時間は、革種類により差があり大抵は6ヶ月~1年かかります。また、人口・合成皮革にエイジングは起こりません。


では、エイジングしやすい色やどのように変色するかの解説です。肌色のヌメ革はエイジング変化大きいのが特徴で多くのユーザーに人気がありますが、雨ジミや汚れが付きやすいのでこまめなケアが必要です。使用前に風通しの良い場所で陰干しすると、革の油分が浮き出て膜を張り雨ジミ・色ムラの予防になります。


濃いグリーンの革もエイジング変化が大きく、変化の仕方が不規則なのが特徴です。明るいカーキ色や黒に変色するので、育ててみないと分からないのが魅力です。


キャメル色はエイジング変化が大きいだけでなく、キャメル→飴色→薄いチョコ色と経年ごとに変色が美しい事からエイジング好きユーザー人気No1で、キャメル色の革製品をよく見かけます。


ご紹介した画像ほど大きなエイジングは見られませんが「紺色」は「濃い茶褐色」に変色し、「赤」は「深みのあるワインレッド」に変色「茶色」は「濃い茶色」に変色します。また、「黒」は色の変化よりツヤが増すイメージの変化をします。


~まとめ~

革の魅力は「鞣し」で決まります。

劇的なアメ色の変化や深い艶を楽しみたいなら植物由来のタンニン鞣しを。

美しさや鮮やかな発色を永く保ちたいなら、水や傷に強いクロム鞣しが最適です。

さらに両者の長所を併せ持つ混合鞣しという選択肢もあります。

それぞれの鞣しの特性を理解して自分のライフスタイルに寄り添う革を選ぶこと。それこそが、あなただけの美しいエイジングを刻む唯一無二の相棒に出会う第一歩です。


まさと

世界初の皮革栄養洗剤レザーウォッシュをもっと広めるために奮闘中。 国家資格クリーニング師。 TeMA(クリーニング屋の集まり)https://tema.jp/に所属し、革製品お手入れ情報を日々アップデートしてます。 革のお手入れに関するお問い合わせは弊社サイトで随時、 受け付けております。