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コラム
革といっても種類はさまざま――革(レザー)の種類別お手入れ方法まとめ

革好きの方なら一度は「このレザー、どんな手入れをすればいいのだろう?」と悩んだ経験があるはずです。ひと口にレザーと言っても「スムース」「スエード」「オイル」「メタリック」「コードバン」など種類は多彩で、それぞれ性質も手入れのコツも異なります。ここでは代表的な5種類に絞り、素材の魅力と具体的なお手入れの流れを解説します。ぜひ愛用品と照らし合わせながらお読みください。
スムースレザー――光沢を守る“潤い”ケア
スムースレザーは、牛革を中心に表面を滑らかに仕上げたもっともスタンダードなレザーです。均一なツヤとコシのある肌触りは高級感があり、財布や靴、バッグなど幅広い製品で目にします。汚れは付きにくい反面、クリームやオイルが行き渡らなくなると乾燥して細かなひびが入りやすくなります。そこで月に一度を目安に、ホコリを落とした後、無色(または同系色)の乳化性クリームを“薄く・広く”塗布し、柔らかい布で磨いてください。クリームが革内部へ浸透するとしなやかさが戻り、表面にわずかなワックス膜が残って撥水性も向上します。
ここがポイント!
- ⚫︎クリームは“塗りすぎ厳禁”。米粒大を布に取り、面を替えながら重ね塗りすると失敗しません。
- ⚫︎仕上げの乾拭きで余分な油分を拭き取ると、指紋が付きにくく上品な光沢が続きます。
スエード&ヌバック――“乾いたブラシ”が命綱
起毛させたスエードとヌバックは、マットで温かみのある質感が魅力ですが、水や油を吸い込みやすい繊細な素材です。最大の敵は“湿気”と“ホコリ”。濡らさずにブラッシングで毛足の奥に入り込んだ汚れをかき出し、起毛を起こして通気を確保するのが鉄則です。週に一度、専用ブラシで一定方向へ軽く撫でるだけでも風合いを保てます。シミやテカりが現れたら、起毛革用の“消しゴム”で表面を優しくこすり、再度ブラシで整えましょう。湿り気がある場合は新聞紙を詰めて陰干しし、完全に乾いてからケアしてください。
ここがポイント!
- ⚫︎蒸気を少し当てて繊維をふっくらさせてからブラシをかけると、潰れた毛並みが復元しやすい。
- ⚫︎撥水スプレーは乾かした直後に遠目から薄く噴き、翌日まで置くと定着力が上がります。
オイルレザー――“与えすぎず、奪いすぎず”のバランス術
オイルレザー(ブライドル、バケッタ等)は、鞣し工程でたっぷり含ませた油分が魅力。使い込むほど表面のワックスが溶け出して艶やかなエイジングを見せます。とはいえ、油分は時間とともに酸化・蒸発します。表面がカサついてきたら、レザーオイルを少量ずつ指または布で塗り広げ、15分ほど置いてから乾拭きしてください。仕上げに固形ワックスを薄く延ばし、艶が出るまで磨くと防水効果と深い色味が復活します。塗布量が多すぎるとベタつきやシミの原因になるため“薄く数回”が合言葉です。
ここがポイント!
- ⚫︎塗布後は半日ほど陰干しして油分を定着させる
- ⚫︎オイルが酸化した白い粉(ブルーム)は、布で軽く磨くと元のツヤに戻ります
メタリックレザー――“磨き”より“保護”がカギ
メタリックレザーは、銀粉やパール顔料をコーティングして独特の輝きを演出したタイプで、ドレス用の靴やクラッチバッグに人気です。しかし輝きを担うコーティング層は薄く、摩擦や溶剤に弱いため、一般的なクリームやオイルは禁物です。日常の手入れはマイクロファイバークロスで乾拭きするだけに留め、汚れが目立つときは中性洗剤を100倍程度に薄めた液を軽く含ませた布で“押し拭き”し、すぐに乾拭きで洗剤分を除去します。磨き作業よりも、保管時に柔らかい布袋へ収納しコーティングの剥離を防ぐことのほうが重要です。
ここがポイント!
- ⚫︎目立たない場所で洗剤テストを行い、変色しないか確認してから全体をケア。
- ⚫︎光沢が曇ってきたら専用トップコートを薄く吹き直すと輝きが戻ります。
コードバン――“少量速攻”で磨き上げる紳士の革
コードバンは馬の臀部にある「コードバン層」だけを削り出した希少なレザー。キメ細かな繊維構造ゆえ独特の鏡面光沢を放ちますが、水分を含むと繊維が隆起して“水膨れ”が残りやすいデリケートさも併せ持ちます。日常ケアは馬毛ブラシで埃を払うだけが基本。乾燥や退色が気になったら、コードバン専用クリームを米粒大ほど指に取り、全体へ薄く伸ばします。すぐに柔らかい布で磨いて余剰成分を除去し、摩擦熱で深い光沢を引き出してください。クリームが多いと曇りの原因になるため、“塗る→磨く”を素早く行うのがコツです。
ここがポイント!
- ⚫︎水滴は放置せず、乾いた布で速やかに吸い取ると跡が残りにくい。
- ⚫︎長期保管は乾燥剤を入れた通気性ケースで湿度変化を防ぐ。
まとめ――「レザーウォッシュ」で時短メンテ
ここまで5種類のレザーを見てきましたが、実際には複数の素材を同時に手入れする場面も多いでしょう。「クリームを塗り分ける時間が取れない」「起毛とスムースが混在している」というとき、株式会社ミズタニのレザーウォッシュが心強い味方になります。弱酸性の泡が汚れを包み込み、同時に保湿・栄養補給までこなすため、スムースからスエード、さらにはオイルレザーに至るまで幅広い種類の手入れに対応。最後にサッと乾拭きするだけで、洗浄と保護が一度に完了します。忙しい日常でもレザーライフを楽しみたい方は、ぜひ取り入れてみてください。