Column
コラム

革の汚れ落としにハンドクリームはNG?失敗しないお手入れ方法とレザーウォッシュの使い方

ハンドクリーム画像

革の汚れ落としで「とりあえず家にあるハンドクリームを塗ってみた」──心当たり、ありませんか?

小さな黒ずみやスレが気になると、つい手近なものに頼りたくなりますが、ハンドクリームは本来「人の肌用」。その場ではツヤが出ても、時間が経つとベタつきやホコリ付着の原因になったり、シミのように見えてしまうこともあります。せっかく大切にしたい革製品だからこそ、「汚れを落とすケア」と「うるおいを与えるケア」は分けて考えるのがおすすめです。そこで登場するのが、革の汚れ落としと保湿ケアを一度にできる革用洗浄剤「レザーウォッシュ」です。


なぜ「ハンドクリームで代用」はおすすめしにくいのか?


ハンドクリームは、乾燥しがちな人の手を守るために作られています。

そのため、

  • しっとり感を出すための油分が多い
  • ベタつき防止のための成分が配合されている
  • 香料や増粘剤など、革に不要な成分も含まれている

といった特徴があります。

これを革靴やバッグ、レザージャケットに多用すると、

  • 表面に油膜が溜まり、かえって「くすみ」やベタつきの原因になる
  • ホコリが付きやすくなり、革の汚れ落としどころか汚れを呼び込んでしまう
  • 一部の成分がシミのように残る

といったリスクが出てきます。

「一度塗っただけで即アウト!」というほどではありませんが、日常的なケアとしては、やはり革専用のケアアイテムを使った方が安心です。


まずは“洗ってリセット”を意識する


革製品のお手入れで見落とされがちなのが、「汚れを落とす」というステップです。

ツヤ出しオイルやクリームを塗る前に、

  • 革の表面についた汗・皮脂・手アカ
  • ほこりや排気ガスなどの水溶性の汚れ
  • イヤなニオイのもと

を、やさしく落としてあげることが大切です。

ここで活躍するのが、革用の「洗浄剤」として開発されたレザーウォッシュ。弱酸性の洗浄成分で、水溶性の汚れやニオイを落としつつ、革の内部のコラーゲン・ケラチン繊維を守るように処方されています。単なる革の汚れ落としではなく、洗いながら油分・保湿成分も補給できるのが、ハンドクリームとの大きな違いです。


レザーウォッシュとハンドクリームの役割のちがい


イメージとしては、次のように考えると分かりやすいです。

  • レザーウォッシュ「革用の洗顔&美容液」
    • 汚れを落としながら、必要なうるおいもチャージ
  • ハンドクリーム「人の肌用の保湿クリーム」
    • 革に使うと“成分過多”になりやすい

レザーウォッシュは、革製品にとってちょうど良いバランスの油分と保湿成分が入っているので、洗ったあとにしっとり感や柔らかさを与えながら、ベタつきにくい仕上がりを目指しています。「表面がギトギトするのはイヤだけど、カサカサ・ひび割れも心配」という方にこそ向いているケアです。


忙しい人にこそ向いている、“ながらケア”としてのレザーウォッシュ


レザーウォッシュには、泡で出てきて拭き取るだけの「クリーミーフォーム」や、スプレーして布でなじませるタイプなど、いくつかラインナップがあります。

クリーミーフォームなら、水を張ったバケツや洗面台を準備しなくても、

  • 1.泡を出す
  • 2.やわらかい布やスポンジでなじませる
  • 3.きれいな布で拭き取る

という手順で、革の汚れ落としと保湿ケアをまとめて行えます。「水洗いはちょっと怖い」「でも、ハンドクリームでごまかすのも不安」という方には、まさに間をとったような存在です。


それでもハンドクリームを使うなら…?


それでも「どうしても手元に革用クリームがない」「出先で今すぐ何とかしたい」という場面もあるかもしれません。その場合は、

  • 目立たない場所で少量だけ試す
  • べったり塗り込まず、薄く伸ばす
  • その後、可能なタイミングでレザーウォッシュなど革用洗浄剤で一度リセットする

という使い方なら、ダメージを最小限に抑えられます。ただし、長期的なケアとしてハンドクリームを「常用」するのは、やはりおすすめしづらいのが正直なところです。


レザーウォッシュを使う前の注意点


レザーウォッシュは幅広い革製品に使えるよう設計されていますが、すべての革に使えるわけではありません。

  • ヌメ革
  • 爬虫類革(クロコ・パイソンなど)
  • 毛皮コート
  • 純白のファー

には使用を控えてください。

また、起毛革(スエード・ヌバックなど)や、赤・青・淡い色の革は、色落ちしやすい場合があります。必ず「目立たない場所」でパッチテストをしてから、少しずつ様子を見ながら使うようにしてください。


まとめ:ハンドクリームに頼る前に、“革用の洗ってうるおすケア”を


革の汚れ落としにハンドクリームを使うと、短期的にはツヤが出ても、長期的にはベタつきやくすみ、シミの原因になることがあります。

大切な革財布やバッグ、レザージャケット、ブーツを長く使いたいなら、

  • 1.まずはレザーウォッシュで「洗ってリセット」
  • 2.汚れ・汗・ニオイを落としつつ、革に合った油分と保湿を補給
  • 3.そのうえで必要に応じて、革専用クリームや防水スプレーで仕上げ

という流れが、結果的に一番シンプルで、財布にもやさしいケアになります。

ハンドクリームでごまかす前に、レザーウォッシュでさっとひと手間」──その小さな習慣が、お気に入りの革製品を何年も気持ちよく使い続けるための、一番の近道になるはずです。

まさと

世界初の皮革栄養洗剤レザーウォッシュをもっと広めるために奮闘中。 国家資格クリーニング師。 TeMA(クリーニング屋の集まり)https://tema.jp/に所属し、革製品お手入れ情報を日々アップデートしてます。 革のお手入れに関するお問い合わせは弊社サイトで随時、 受け付けております。