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コラム
革財布のお手入れ方法:水洗いNGの理由と「レザーウォッシュ」の紹介

革財布は使うほど手に馴染み、経年変化(エイジング)を楽しめる魅力的なアイテムです。しかし、長く愛用するためには定期的なお手入れが欠かせません。
基本は月に一度、乾拭き(からぶき)でホコリや汚れを落とし、革用クリームで栄養を補給し、防水スプレーで水や汚れを弾くケアを行いましょう。これにより革のひび割れやカビを防ぎ、美しい艶と柔軟性を保つことができます。
また、「革財布は水洗いしてはいけない」と昔から言われてきましたが、その理由は革の主成分であるタンパク質が水で変性して固くなってしまうことや、革内部の油分(細胞間脂質)が流出してカサついてしまうことにあります。特にヌメ革(タンニンなめしの生成りの革)は水に非常に弱く、水洗いは不向きです。
ところが近年、この常識を覆す最新技術が登場しました。その名も「レザーウォッシュ」です。レザーウォッシュを使えば革製品を自宅で水洗いでき、手軽に汚れや臭いを落として清潔に保つことができます。弱酸性で革に優しく、洗いながら栄養分を補給できる特許取得済みの革専用洗剤なので、革を傷めず本来の風合いを蘇らせることができます。
この記事では、革財布のお手入れ方法を丁寧に解説するとともに、水洗いNGの理由やレザーウォッシュによる新しいケア方法についてご紹介します。
革財布は水洗いNG!その理由とは
大切な革財布でも「汚れたから」といって水で丸洗いするのはNGです。昔から革製品は水に弱いとされますが、それには科学的な理由があります。革は動物の皮を加工したもので、その約90〜95%がコラーゲンやケラチンといったタンパク質の細胞で構成されています。私たちの髪や肌もタンパク質でできていますが、水に長時間さらされるとゴワついたり変質したりしますよね。それと同じように、革も水に浸すとタンパク質の構造が変化(変性)して硬く縮んでしまうのです。革がカチカチに硬化してしまうと、柔らかさが失われひび割れの原因にもなります。
さらに、革がしなやかさを保っているのは繊維のすき間に「細胞間脂質」と呼ばれる油分や保湿成分が詰まっているおかげです。いわば革内部の天然の潤滑油ですが、水で洗うとこの大切な油分(水分保持成分)が流れ出てしまい、革が乾燥してカサカサになってしまいます。水洗い後に革が白っぽくなったり、触るとガサガサになるのは油分が抜けてしまったサインです。
以上の理由から、従来は革財布を水で洗うのは厳禁とされてきました。特に「ヌメ革」と呼ばれるナチュラルレザーは、染色やコーティングがされていないデリケートな素材のため、水に濡れるとシミになったり硬直しやすく、水洗いには不向きな素材です。雨の水滴でも跡が残りやすいので、ヌメ革財布をお持ちの方はより注意が必要です。
革財布を長持ちさせる基本のお手入れ手順
水洗いはNGですが、革財布は日常のケア次第で驚くほど長持ちします。月に一度を目安に、以下の手順でお手入れしましょう。
1.乾拭き(ホコリ落とし)
お手入れの最初は、革表面のホコリや汚れを落とすことから始めます。柔らかい布で乾拭きするか、毛先の柔らかいブラシで優しくサッと全体をなでるように埃を払いましょう。強くこすらず、撫でるようにするのがポイントです。ファスナーの付近や折り目の隙間など細部に入り込んだゴミも、この段階でできるだけ取り除いてください。汚れを先に落としておかないと、後でクリームを塗ったときに汚れが革に擦り込まれてしまう恐れがあります。
2.保革(革用クリームで栄養補給)
ホコリを払ったら、革に栄養と潤いを与える保革ケアを行います。市販の革用クリーム(レザー用の保湿クリームやオイル)を用意し、柔らかい布に少量(米粒大くらい)取ります。それを財布全体に円を描くように薄くムラなく塗り広げましょう。一度にたくさん塗るとクリームが浸透しきらず、ベタつきやカビの原因になるため注意が必要です。革にクリームが行き渡ったら、直射日光を避けて風通しの良い場所でしばらく置き、成分を浸透させます(目安として30分〜1時間程度)。最後に乾いた布で優しく拭き上げると余分なクリームがとれてツヤが増し、しっとりとした手触りになります。
3.防水スプレー(撥水・防汚コーティング)
仕上げに、防水スプレーを使って革表面をコーティングしましょう。防水スプレーは靴用など革製品対応のものを選び、屋外など換気の良い場所で財布全体に薄く吹きかけます。一箇所に集中せず、缶を20cmほど離してスプレーを左右に振りながらムラなく噴霧するのがコツです。スプレー直後は革が少し濡れたようになりますが、触らずにそのまま数十分乾かします。完全に乾けば透明な保護膜が形成され、水や汚れを弾いてくれるようになります。雨の日のシミ防止になるのはもちろん、日常のちょっとした汚れも付きにくくなるため、ぜひこのひと手間を加えてください。
以上が基本的なお手入れの流れです。普段からこのケアを習慣にしておけば、革財布の美しさと柔軟性を保ち、エイジングも艶やかに進みます。「お気に入りの財布を長く使いたい」という方は、ぜひ月に一度のペースで実践してみましょう。
最新技術で実現!革を水洗いできる「レザーウォッシュ」
通常、革財布は水洗い厳禁ですが、最新技術によって今や革を洗うことが可能になりました。それが革専用の洗浄剤「レザーウォッシュ」です。従来、革製品が汚れても「水洗いできないから」とお手入れを諦めてしまい、表面にクリームを塗ってごまかす程度だったり、高価なドライクリーニングでも十分に汚れやカビを落とせなかったりすることがありました。しかしレザーウォッシュの登場で状況は一変します。
レザーウォッシュは株式会社ミズタニが開発した世界初の皮革用栄養洗剤で、革を洗浄しながらコンディショニング(栄養補給)も同時に行える画期的な製品です。使い方は簡単で、洗いたい革製品にレザーウォッシュをスプレーし、柔らかい布で汚れを拭き取るだけ。商品によっては泡状のクリームタイプもあり、水ですすぐ必要もなくお手軽です。日常的に使う財布でも「最近少し汚れてきたな」と感じたときにサッとお手入れでき、従来のように専門のクリーニング店に出す手間もありません。
レザーウォッシュが革を水洗いできる秘密は、その成分と仕組みにあります。通常の洗剤で革を洗うと、汚れと一緒に革の大事な成分(タンパク質や油分)まで溶け出してしまうため革が硬化・縮み・色落ちしてしまいます。一方、レザーウォッシュは水のpHバランスを弱酸性に調整し、洗浄中に流出しがちな革の栄養分を新たに補給しながら汚れだけを落とす特殊処方です。具体的には、天然由来の界面活性剤で汚れを優しく洗浄しつつ、植物性クエン酸が革のコラーゲン繊維を保護してタンパク質の変性を防ぎ、さらに天然の油分(ラノリンなど)や保湿成分を配合して水洗いで失われる潤いを補います。そのため、水洗いしても革がゴワゴワに硬くなったり縮んだりせず、むしろ洗う前よりもしなやかに風合いがよみがえります。除菌・消臭効果もあるので、汗や皮脂による気になる臭い対策にも一石二鳥です。
レザーウォッシュはその安全性と有効性から特許も取得済みであり、革への優しさが追求されています。実際に主成分を見ても、植物由来の界面活性剤のほか、ラノリン(動物性の天然油)やホホバ油、ヒアルロン酸といったスキンケアにも使われる保湿・栄養成分が含まれており、革に潤いと栄養を与えながら汚れだけを落とすことが分かります。液性は人の肌と同じ弱酸性なので、手で扱っても肌荒れしにくく、革にとっても優しいpH環境です。これらの特徴により、レザーウォッシュを使えば自宅で革財布を丸洗いして汚れやカビを落としつつ、柔軟性や艶を保つケアが可能になりました。
例えば、長年使って黒ずんだ革財布や、汗で臭いがついてしまった革小物も、レザーウォッシュを使用すれば自宅で水洗いができます。もちろん財布以外にも、革靴や革ジャケット、バッグなど幅広い革製品に応用可能です。洗った後は革本来の柔らかさと光沢が戻り、清潔で気持ちよく使い続けることができます。従来は「あきらめて買い替えるしかなかった」ような革の汚れや臭いも、自分でケアできるようになったのは嬉しい進歩です。
おわりに
革財布のお手入れは、一見難しそうに感じるかもしれませんが、基本のケアを押さえておけば決して難しくありません。日々のひと手間が、革の寿命を大きく伸ばし、美しいエイジングを楽しむ秘訣です。まずは乾拭き・保革・防水の定期ケアを習慣にし、必要に応じて最新のレザーウォッシュも活用しながら、大切な革財布を末永く愛用してください。適切なお手入れを続けることで、お気に入りの革財布は年月を経ても味わい深い輝きを保ち続けてくれることでしょう。