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コラム

いま革ジャンは「洗える時代」へ――家庭の洗濯機で丸洗いする新常識

かつて「革ジャンは水厳禁」という戒律がありました。水につければ油脂が抜け、縮みや色落ちが起こり、二度と元に戻らない――専門家もクリーニング店もそう警告していたのです。

しかし近年、弱酸性で栄養成分を含むレザー専用洗剤の登場により、その常識は急速に書き換えられています。実際、洗濯ネットに入れた革ジャンを家庭の洗濯機で10分ほど回し、短時間脱水のあと陰干しするだけで、汗やカビの臭いが消え、硬化した袖がしなやかさを取り戻したという体験例が次々に報告されています。

さらに、従来1着5,500~16,500円かかったプロクリーニングのコストも、自宅洗いなら洗剤代だけで数百円に抑えられるため、愛用者のあいだで「丸洗い」が新しいメンテナンス習慣になりつつあります。

本稿では、①革ジャンが水を嫌うと言われた理由、②丸洗いを可能にした技術的ブレイクスルー、③失敗しない家庭洗いの具体的手順、そして弱酸性オールインワン洗剤「レザーウォッシュ」がもたらす新しい価値を、わかりやすく解説します。


なぜ革ジャンは「洗えない」と言われてきたのか


革は動物由来タンパク質でできており、強アルカリ性の洗剤や長時間の浸水で繊維が膨潤・変性しやすい素材です。タンナーは石灰脱毛でアルカリに傾いた皮を、酸性浴で中和(浸酸)したうえで鞣(なめ)します。

仕上がった革の理想pHは約5前後で、これより高い環境が続くと「銀浮き(表面が白っぽく濁る現象)」が生じ強度も低下します。市販の衣料用アルカリ洗剤で丸洗いすれば、油脂が流出し硬化や色落ちを招く――これが「革ジャン=洗えない」という定説の科学的根拠でした。


丸洗いを現実に変えた技術革新


弱酸性×栄養補給という処方


近年登場した専用洗剤は、pHを革と同じ弱酸性に保ちつつ、天然由来の動物性精油と植物性精油で失われやすい油分を同時に補給します。この処方によりタンパク質変性と油脂流出を抑えながら汚れだけを除去できるため、水洗い後も革が柔らかく、しっとり艶やかに仕上がるのです。

時短コースと洗濯ネット


洗濯槽での滞在時間を10分前後に抑え、ネットで形崩れを防ぎながら「洗い→すすぎ→脱水」を短サイクルで行う手順であれば、革を傷めづらいことがわかりました。脱水は1~3分にとどめ、取り出したらタオルで吸水しながらシワを伸ばし、陰干しで自然乾燥――この工程が縮みや固着を最小化する鍵になります。


自宅で失敗しない丸洗い手順


まずホコリや泥をブラッシングで払います。

次にファスナーを閉じ袖を軽く折りたたんでネットに収納し、30°C前後のぬるま湯に専用洗剤を溶かした短時間コースをスタート。2分ほどの洗いで汚れを浮かせたら1分脱水し、さらに2分のすすぎで泡を流し、最後に1分だけ脱水します。

取り出した革ジャンは重く水を含んでいるので、肩幅に合う太めのハンガーへ掛けてタオルで軽く押さえながら水気を取り、袖や身頃をそっと引き伸ばして形を整えてください。

風通しの良い日陰で一晩吊れば、翌朝にはしっとり柔らかな質感がよみがえります。


丸洗いで得られる三つのメリット


洗い上がった革ジャンは、まず裏地にこもった汗やカビの臭いが見事に消えます。次に、油分と保湿成分が補給されるおかげで袖通しが滑らかになり、着心地が軽やかです。そして最大の利点は経済性。プロクリーニング1着分と同じコストで4着以上洗える試算もあり、定期メンテナンスのハードルが大幅に下がります。


それでも不安な人へ――弱酸性オールインワン洗剤「レザーウォッシュ」


最後に、丸洗いを後押しする具体的な選択肢として、株式会社ミズタニのレザーウォッシュをご紹介します。弱酸性で人肌と同じpHに合わせ、動物性精油が革の深層を、植物性精油が表層を潤し、洗浄と同時に栄養補給を可能にしたオールインワン処方が特徴です。

2006年の商標登録以来、スポーツ用品大手ミズノへのOEM供給やプロ球団採用を通じて信頼を築き、2025年には累計販売本数が75万本を突破しました。洗濯機で使う「ウェアEX」タイプなら、今回紹介した時短手順にそのまま置き換えられ、洗い上がりの柔軟さと艶が違います。革ジャンが水を恐れる時代は過去のもの。

あなたも一度、“常識外”の爽快さを体感してみてはいかがでしょうか。

艶と柔らかさを取り戻した革ジャンを羽織る瞬間は、まさに“常識が反転する”体験です。丸洗いで得られる清潔感と自由を、ぜひあなたのワードローブでも。