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コラム
野球のグローブ(グラブ)のお手入れ――“臭い”を断ち切り、革を生かす親子ルーティン

少年野球の相棒である革製のグローブ――試合のたびに泥にまみれ、汗を吸い、真夏のベンチで蒸されるその内部は、高温多湿という雑菌の温床です。
指穴の奥から立ちのぼる酸っぱい臭いは、汗と皮脂を栄養源に繁殖した菌が放つガスが原因で、市販スプレーで一瞬ごまかしてもすぐ戻ってきます。放置すれば繊維の奥で菌が増殖し、革が硬化しカビを呼び、捕球感覚も失われてしまう――それがグラブの“臭い問題”の本質です。
しかしグローブは洗えないもの、と決めつけるのは早計。練習直後に〈30秒の拭き取り〉、週末に〈15分の洗浄と栄養補給〉という二段構えを続ければ、臭いは激減し、柔らかさと発色も保てます。
本稿では①臭いのメカニズム、②日々と週末のお手入れ手順、③長持ちのコツを順に解説し、最後に弱酸性・天然成分で丸洗いを可能にした「レザーウォッシュ」を紹介します。親子で取り組めば難しくない――その具体策をお届けします。
臭いは「汗×湿気×菌」の化学反応
子どもの手から出る汗と皮脂がグローブ内に染み込み、練習後の体温で内部は40°C近いサウナ状態になります。そこへ土埃が加わると菌が爆発的に増殖し、アンモニアやイソ吉草酸が指穴の奥にこもる。使い込むほど臭いが強まるのは、革の厚みが菌の温床を隠してしまうからです。
練習直後の“30秒ケア”で菌の餌を断つ
ベンチに座ったら、まずグラブを大きく開いて内部の湿気を逃がします。次にマイクロファイバークロスをぬるま湯で固く絞り、捕球面→指穴→ウェブの順にやさしく一巡。タオルの毛足では届かない細部は綿棒を差し込むと効果的です。仕上げにグローブを開いたまま陰干しし、バッグに放り込むのを避けましょう。わずか30秒のこの習慣で、臭いのもととなる汗と菌の7割以上を翌日までに減らせるとの報告もあります。
週1回の“ご褒美ケア”――洗浄と栄養補給
洗浄
ぬるま湯を含ませたスポンジで円を描くように表面をなで、指穴は綿棒で奥まで届かせます。短時間・弱酸性・栄養補給を守れば、革は水を恐れません。
栄養補給
水分を拭き取ったら、動物性油脂ベースの保革オイルを“米粒3つ”分だけ指に取り、薄く塗り伸ばしていきます。塗りすぎは酸化臭とベタつきの原因。
乾燥と型戻し
新聞紙を指先まで詰めて吸湿し、捕球面にボールを挟み軽く輪ゴムで固定したら風通しの良い室内で陰干し。ドライヤーや直射日光は革を煎餅化させるので禁物です。
続けるほど実感する3つのメリット
第一に柔軟性。潤った革は閉じ開きがスムーズで、捕球音が澄んだ“パシッ”に変わります。第二に無臭環境。臭いストレスが減ると子どもはグラブを触る時間が増え、結果として守備練習に前向きになります。第三は経済性。カビや硬化を防ぐことで買い替えサイクルが延び、結果的に部費を圧縮できます。
「レザーウォッシュ」で広がる丸洗いの選択肢
ここまで紹介した手順を、より手早く安全に行いたい方には株式会社ミズタニが開発した弱酸性皮革栄養洗剤「レザーウォッシュ」を最後にご紹介します。
- 90%以上がタンパク質でできた革に合わせた弱酸性処方で、人の肌と同じpHだから手袋なしでも安心。
- 洗浄・保護・栄養補給を同時にこなすオールインワン。丸洗い後でも革がゴワつかず、むしろ潤いが戻るメカニズムが採用されています。
- 発売以来累計75万本を突破し、プロ球団やOEMでも採用された実績が安全性と効果を物語ります。
スポンジにワンプッシュ泡を出してなじませ、すすぎ不要で拭き取るだけ。週末ケアを“15分→5分”に短縮したい、あるいはシーズンオフに丸洗いしたい――そんなときに力を発揮してくれるはずです。
おわりに
「革は水に弱い」「子どもには難しい」――そうした思い込みを捨て、野球グラブの臭いと硬化を根本から断つ習慣を今日から始めてみませんか。毎日の30秒と週1回の15分が、革を生かし、プレーを支え、親子のコミュニケーションを深めます。清潔で柔らかなグローブとともに、次の好プレーを。